5 学園創立から95年目となる今年ですが、創立100周年がいよいよ近づいてきていることを実感いたします。宝仙学園では、2028年に迎える学園創立100周年に向け、「感応の心を大切に、共に学び、高め合う、理想の学び舎を創造する」とする長期ビジョンを定めました。ビジョンにある「感応」は、学園にとってはとても重要な言葉として位置づけているものです。そして「感応の心」には、人が自身を取り巻く自然や社会、あるいは他者を含めた「世界」との関係を尊重する精神性がうたわれています。 学園章が意味する「支えあう三つの力」、そして「感応の心」の大切さは、これからも変わることなく宝仙学園の教育への思いとして生き続けていくことでしょう。学園で学ぶ子どもたちには、自らの生活の中においてこれらのことを意識しながら、人として成長していってほしいと願っています。教育を充実させ、理想の総合学園をつくる 宝仙学園は、2022年の時点で、学生、生徒、児童、園児の総数は、2539名となりました。昨年度に引き続き、多くの子どもたちが在籍する学園となり、大変に嬉しく感じております。今後、各部門の教育活動もますます充実し、活気が出てくることと想像します。部門間交流も積極的にはかりながら、皆が過ごしやすい学園をつくっていきたいと考えています。 こども教育宝仙大学は、収容定員数の学生を確保し、今年度の新学期をスタートさせました。就職率も非常に高く、保育者養成の専門の四年制大学として開学以来、着実に「保育の宝仙」を牽引する部門に成長しています。今秋には、いよいよ「オーストラリア保育留学制度」が実施されます。大学全体で取り組む「こども教育 HOSEN WAY Ⅱプロジェクト」も充実し、さらなる教育展開を期待しています。 そして、中学校に16期生が入学した中学校・高等学校共学部「理数インター」は、中高一貫教育の成果が、大学進学実績として着実に結果を出し続け、安定した社会的評価を得ています。また高等学校女子部は、今年度より「こども教育コース」として新たな教育体制となり、学園内の高大接続による教育活動や幼稚園との教育連携も一段と活性化していくことと思います。共学部、女子部ともに、生徒自身が主役となる学校文化が育ち、「知的で開放的な広場」が実践されていることを感じています。 小学校においては、これまでも推進をしてきたICTの活用や、教育活動の情報発信等を通じ、積極的な教育展開がなされています。また今年度は、西島新校長が着任され、小学校が掲げる「豊かな情操と高い学力」が、より一層発展していくことと思います。また学園の建学の精神にもつながる「道徳」の授業も、日々の学校行事とともに、学園らしい仏教精神の学びを深化させることでしょう。 そして幼稚園においては、「あそびの中に、学びをつくる。あそびの中で、人をつくる」をテーマとして掲げ、子どもの体験を大切にする保育を進めています。幼稚園の教育活動は、日常の園生活のなかでの園児の指導とともに、保護者との信頼関係の構築にも力を注ぎ、幼稚園と家庭とが一体となる理想的な幼児教育を展開しています。今後も、子どもが幼児期に身につける力を一つひとつ伸ばしていく教育を推進することと思います。 宝仙学園の各部門は、それぞれの教育の取り組みを充実させながら、学外からの高い評価を得ています。どの部門においても、子どもたち一人ひとりに寄り添いながら、主体性を育てていく教育を実践しています。人と人との関わりを大切にした人間教育のもと、理想の総合学園をつくり上げていくという思いは、これからも変わることはありません。学園創立100周年に向かい、教育環境整備等の事業計画も具体化して参ります。建学の精神である「仏教精神を基調とした人間教育によって、品格と知性を兼ね備えた人を造る」をより一層高めていけるよう、時代が生む困難な状況を乗り越えながら、学園の教育をさらに進化させていきたいと思います。 2022年5月
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