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2020年の宝仙学園

学校法人宝仙学園 理事長 冨田道生

創立100周年に向かって

教育環境の充実を進める

 元号が令和に変わり、2年目を迎えました。さまざまな分野における技術革新が加速度的に進展する今日、社会はかつてないスピードと規模で大きく変化をしています。
 こうしたなか、宝仙学園のまなざしは、来たるべき創立100周年に向かっています。2028年に、その記念すべき100周年を迎えますが、それまでの間に、学園はどのように教育体制を整えておくべきなのか、熟慮しているところであります。大切なことは、「仏教精神を基調とした人間教育によって、品格と知性を兼ね備えた人を造る」とする学園の建学の精神を基軸に、社会の変化に対応しつつも、時代に流されずに歩んでいくことだと思います。そのうえで、各部門における教育環境や、ICT教育をはじめとする教育設備等の、さらなる充実を推し進めたいと考えています。

 

感応の心を大切に

 宝仙学園は、創立100周年に向けた長期ビジョンを、「感応の心を大切に、共に学び、高め合う、理想の学び舎を創造する」と定めました。感応豊かな人の育成は、学園創立以来、実践をしてきた教育の根幹だと言えるものです。心の安定は正しい知恵を生み、豊かな情操は学びの意欲を高めます。それらは、宗教的な雰囲気の中で学園生活を送ることにより、自然のうちに感得するものです。心豊かな人間は、敬虔の心、慈悲の心、感謝の心、奉仕の心を育み、生きる意欲を高め、自らの力で人生を切り開いていくのです。
 この長期ビジョンにおいて、「感応の心」をキーワードに掲げましたのは、急速な社会変化が進む中で、人の心の状態が不安定になることを危惧するからであります。AIやロボットなどのテクノロジーが日常の生活において浸透することで、人間に求められる役割の再定義が生まれようとしています。何年後かには、さまざまな職業はAIが担い、現在の仕事の多くを人間が行う必要がなくなるとまで言われています。そのような未来が想定される時代だからこそ、人間の持つ力を十分に活かした「知恵」が大切になると、私は考えます。自分らしい生き方の拠り所は、知識や技術に頼るのではなく、体験に基づいた知恵を中心に置いていかなくてはならないのです。
 学園での行事においても、私は折にふれ、子どもたちに「十善戒」の話をします。これは仏教の戒律で、日々の暮らしの中で心掛けたい人としての生き方を示すものです。理屈で考えるのではなく、「いけないものはいけない」という体験から導かれる仏教の教えです。学園の子どもたちには、これから長い人生の中で、「そういえば、冨田先生はあんなことを言っていた」と思い出してくれたら、これほどうれしいことはありません。

 

理想の学び舎を創造する

 宝仙学園は小さな規模の学園ではありますが、教育内容の質実のある学園であることを、日々感じています。2020年の時点で、当学園で学ぶ学生、生徒、児童、園児は、2,436名となりました。
 こども教育宝仙大学においては、今年度は115名の入学生を迎えることができました。四年制大学として開学してから10年を経過し、大学に対する評価が、具体的な学生数として表れていることは、大変に喜ばしいかぎりです。
 また、中学校に14期生が入学した理数インター(高等学校共学部・中学校共学部)の教育については、社会的な評価が定着したと感じています。生徒の主体性が、さまざまな活動で前面に出ており、その成果が、優れた進学実績を生み出しているものと思います。高等学校の女子部は、昨年度より保育コースを主体とした体制にし、「将来の保育者をめざす」という目的意識をしっかりと持った生徒が増えています。
 小学校では、豊かな情操を育むとともに、全学年・全教科を対象に、「次世代型学力の育成」をテーマとした独自のアクティブ・ラーニングを展開し、高い学力を身につけていく教育が注目されています。さらに幼稚園は、「あそびからの学び」をテーマに、体験し実感する保育を進めています。幼稚園の教育活動は、まさに学園が掲げる「感応の心」を育てていく取り組みだと言えるものでしょう。
 どの部門においても、子どもたち一人ひとりに寄り添い、しっかりと育てていく教育を実践した結果により、宝仙学園ならではの教育が生み出されていると思います。そして、人と人との関わりを大切にした人間教育によって、子どもたち皆が先生に親しみを感じているようです。これこそが学園の文化であり、建学の精神が時代を超えて輝き続けている証しに他なりません。これからも学園の全員で、学び、高め合い、理想の学び舎を創造していきたいと思います。

 

学園での再会を心待ちに

 今年に入り、新型コロナウイルス感染症の拡大は、世界全体に不安と深刻な影響をもたらしています。学園においても、子どもたちは自宅待機を余儀なくされ、仲の良い友だちにも会うことができず、つらい日々を過ごしたことを、心苦しく思います。また新入生にとりましては、先生やクラスメイトとの交流が叶わない入学となり、不安な気持ちのまま、新生活を迎えられたに違いありません。
 休校措置の中、学園のそれぞれの部門は、学生、生徒、児童、園児の一人ひとりとのつながりをしっかりと保ち、さまざまな工夫による教育活動を行っています。このような状況においても、学園の子どもたちなら、困難を乗り超え、何かを学び取ることでしょう。
 宝仙学園は、逞しく成長した子どもたちと再会できることを、心待ちにしています。

 

2020年5月

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