小学校正門に佇む観音像冨田道興理事長補佐による仏教のお話は、今年度からスタートしました3間が造るものであり、人間が中心となることは変わりがないでしょう。今、社会のあり方が難しい状況にあるのですから、なおさら建学の精神である「品格と知性を兼ね備えた人を造る」教育を大切にしていかなければならないと思います。――小学校では今年度より、理事長補佐(宝仙寺副住職)冨田道興先生に月一度、全校児童に向けて仏教のお話をしていただけるようになりました。この7月は、「これから夏休みを迎えますが、進んでお手伝いをし、まわりの人と力を合わせるように心がけてください。それをすることは、自分の学びにもつながります」と話され、正しい姿に導く観音様の姿に重ね合わせました。こうしたお話は、子どもたちが仏教の教えを身近なものとして捉えることができるように配慮されています。冨田 宝仙小学校の玄関には、観音様の像が佇んでいるのですが、登下校時に子どもたちが手を合わせている姿が見られます。私はそれを見てうれしく感じるのですが、そういう日々の行いが大事なのだと思います。 仏教は教え込むものではなく、自然のうちに感得し、生活習慣として身に付けるものです。宝仙学園の創立者は「仏教的信念を根底に置いた人間教育の達成」を目標に定め、学園創設にあたっても、宝仙寺の敷地内に定めました。都心にありながら、豊かな緑に囲まれ、仏教的な雰囲気に包まれた教育環境は、本学園の誇るべき特長と言うことができます。 幼少期からこうした環境に馴染むことが大切です。宝仙学園幼稚園では、花まつりなどの仏教行事や、日々の生活の中でも仏さまを身近に感じて手を合わせることなどを通して、豊かな情操を育んでいます。建学の精神が持つ普遍性を 再認識していく――宝仙学園は、創立100周年という大きな節目まで、残り5年ほどに迫っています。「仏教精神を基調とした人間教育」は、学園が変わらず大切にしている考え方であり、これまで以上に深めていく必要があるのではないでしょうか。冨田 混迷の時代だからこそ、倫理観や人間としての誇りが求められ、「人を造る」教育が大切になります。創立100周年を迎えるにあたり、建学の精神が持つ普遍性を再認識していく必要があるのは、言うまでもないことです。 私自身も、学園行事などの際には、園児、児童、生徒、学生に向けて語りかける機会を、事あるごとに設けてきました。卒業式の祝辞では、時節の話題とあわせて「十の戒め(真言宗の「十善戒」を子どもたちにわかりやすく言い換えたもの )」について話します。一例を挙げますと、(四~七)の言葉の戒めについて、近年、問題視されているネット上における誹謗中傷との関わりでお話しさせていただいたことがありました。これらの心の教育は、すぐに成果が現れるものではありません。豊かな人間形成の土台となるものですので、本人がそのことを自覚していないとしても、その後の人生の様々な場面で活きてきます。 また、中高共学部(理数インター)は、社会の求めに応じて設置された部門であり、おかげさまで本学園も進学校としての評価が年々高まっています。良い成績を収め、偏差値の高い学校に入ることは人一倍の努力を要すことであり、もちろん素晴らしいことではありますが、それだけを目指しているわけではありません。大切なのは、学びへの意欲です。人としていかに
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