宝仙季報 No.162
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4今こそ、「人を造る」教育が求められていますに由来するものであることを本日のお話からうかがい知ることができました。最後になりますが、学園の子どもたちへのメッセージをお願いします。冨田 今日、仏教は教え込むものではなく、自然に身に付けるものであるという話をさせていただきました。YESかNOかを即座に迫ることをしない、このような無理のないやり方は、日本人の感性にぴったり合っていて、長く人の心に留まることになるのだと思います。 「十の戒め」にしても、日々を過ごすにあたり、特別なものでは決してなく、当たり前に守らなければならないことを教えています。学校を出た後の方が人生は長いです。皆さんは、これから様々な場面に遭遇するに違いありません。そんな時に、「そういえば、宝仙学園でこんな話を聞かされた」と思い出していただき、「十の戒め」のうちのいくつかでも守ることができれば、人生をより良くすることにつながると思います。――本日は、仏教精神に根差した本学園の教育の今日的な意義を振り返る機会となりました。貴重なお話をどうもありがとうございました。■宝仙学園の文化長谷寺仏教研修(朝の勤行)「十の戒め」 一、生き物を傷つけません(不殺生) 二、人の物を盗りません(不偸盗) 三、清らかな行いをいたしましょう(不邪淫) 四、誤ったことを言いません(不妄語) 五、ふざけたことを言いません(不綺語) 六、人の悪口を言いません(不悪口) 七、仲たがいさせることを言いません(不両舌) 八、貪る心をもちません(不慳貪) 九、怒りの心をもちません(不瞋恚) 十、まちがった考えをもちません(不邪見)生きるか、生きる意味を知ることが志につながり、結果、目標とする学校に行けることもあるのです。その場に身を置くことが大切。 長谷寺現地での研修――本学園では、真言宗豊山派の総本山である長谷寺(奈良県桜井市)において、教職員を対象とした「長谷寺仏教研修」を行っています。写経や観法(密教瞑想)、朝勤行などを現地で体験するのですが、私たち教職員にとっても、仏教精神を肌で感じることができる得難い機会となっています。冨田 大変短い期間で行われるものですので、「仏教がわかった」ということにはならないのですが、まずは体験することが重要だと考えています。あの場所に身を置くことにより、心に染み入ってくるものがあるのです。参加者からの感想として、「仏教への理解が深まった」「他部門の人と交流ができ、他部門のことが分かった」「参加してよかった」という声が聞かれています。宝仙学園に在籍する学生、生徒、児童ならびに教職員が正しい心持ちでより良く生活でき、教育にも役立てば、この研修の意義があるのではないでしょうか。 2023年の長谷寺仏教研修は、8月24日(木)~26日(土)で実施されました。〇長谷寺(開所式・写経・学園研修・勤行参列・本堂 内拝・境内見学・観法・閉所式)〇伊勢神宮(内宮参拝・自由散策)「十の戒め」を 心のブレーキにしてほしい――宝仙学園が歩んできた長い道のりは、必ずしも平坦ではなかったと伝え聞いています。様々な社会事情に遭遇しながらも、今日までそれを乗り越えられてきているのは、学園の根底を流れている普遍的な価値感

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