100周年
記念事業

理事長挨拶

2024年の宝仙学園

MESSAGE
学校法人宝仙学園 理事長
冨田道生

宝仙学園の教育を未来へとつなげていく

学園での生活を通じ、豊かな人格を築いてほしい

 今春に行われた学園各部門の入学式、入園式は、桜の花が満開の時期と重なり、大変に晴れやかな式典となりました。数年来にわたる新型コロナウイルス感染症に対する不安感も和らぎ、社会全体に日常生活が戻り始めたことも含め、新年度の学園のスタートを嬉しい気持ちで迎えた次第です。

 保護者の皆様をはじめ、学園関係者の方々におかれましては、本学園の教育運営に際し、平素より多大なるご理解とご支援を頂戴しておりますこと、心から感謝を申し上げます。2028年には、学園は創立100周年を迎えますが、本年度もより一層、コロナ禍で経験し得た教育を前進させることの強い思いを忘れずに、各部門それぞれの教育活動を充実させてまいります。何卒、宜しくお願いいたします。

 本年度は、合同開催が叶った秋の宝仙祭もさらに盛況に実施されると思いますし、各部門が行う学外研修や修学旅行、校外学習等での成果にも大いに期待をしているところです。学園の子どもたちには、学園での生活と学びを思う存分に謳歌して、一人ひとりが豊かな人格を築き、伸ばしてほしいと願っています。

建学の精神により真の人間教育を実践する

 宝仙学園は、「仏教精神を基調とした人間教育によって、品格と知性を兼ね備えた人を造る」を建学の精神として掲げ、これからの社会を担っていく子どもたちの人格育成と、今日を生きる上での「知恵」と「力」を養うための人間教育を実践しています。そして、進学文化と保育文化という二本の学園教育の柱のもと、子どもたちの多様な個性を尊重し、その成長を支えていく丁寧な教育を堅持していることに自負をもっています。

 建学の精神を通して子どもたちに伝えている学園の考えは、仏教精神がその中心にあります。現在の社会情勢に目を向けてみますと、世界中のいたるところで人間どうしの争いが絶えず、その報道にふれる度に心が痛むばかりです。このような状況の原因は、自己の価値観に固守するあまり、他者を否定し排除してしまうことから生まれるのではないかと思われます。学園の母体となる宝仙寺は真言宗豊山派ですが、真言宗が説く仏教の教えは、自他それぞれの考えや思想が共存する上で世界というものが成立していることを説き、非常に寛大な考え方をもっています。そのような仏教精神を核とした建学の精神は、今日において生きていくために必要な本当の力とは何かを、常に問いかけているものといえるでしょう。

 各部門においても、対象となる子どもたちの年齢に応じ、その教えをそれぞれの活動の中で展開しています。幼稚園では「あそび」を通じ「感応の心」を育む教育を、そして小学校では、慈悲の教えとともに「思いやりの心」を育てる教育を大切にしています。中学校・高等学校ではコミュニケーション力の育成により、多様性を尊重する学びをめざしていますし、大学は仏教保育協会保姆養成所の設立以来、人間の根幹にあたる乳幼児期の子どもたちをしっかりと支える保育者の育成に努めています。こうした学園の教育は、自他を思いやれる真の人間教育へと醸成し、それを未来へとつなげていくことを望むものなのです。

創立100周年に向かい、理想の学園を追求していく

 宝仙学園は、2024年の時点で、学生、生徒、児童、園児の総数が、2501名となりました。2028年の学園創立100周年へと向かう中、学園全体が益々活気に満ちていくことを想像いたします。

 こども教育宝仙大学は、来年に開学90周年を迎えます。保育者養成校として、その歴史と伝統から「保育の宝仙」というブランド力を着実に拡げ、全国的なレベルにおいても保育職への就職率が非常に高い大学に成長しました。また来年度入学生より、新たに3コース制カリキュラムがスタートし、多様な保育の学びの創出と優れた保育者の育成を一段と発展させていきます。

 中学校・高等学校は、「知的で開放的な広場」という校風のもと、共学部、女子部ともに、生徒一人ひとりが自己ベストを更新することをめざしています。共学部「理数インター」では、本年3月1日付で学校法人順天堂と本学園が系属校に係る協定書を締結し、次年度に「医学部進学コース(仮称)」を新設する運びとなりました。開校以来積み上げてきた独自の中高一貫教育が評価されことを、大変に誇りに思います。そして高等学校女子部「こども教育コース」では、学園内の他部門との教育連携を充実させ、学校行事やダンス部をはじめとする部活動も活発に行ない、学校そのものが生徒たちの活躍する場となっています。
 小学校は、今年度の教育方針を「自ら学び チャレンジと共創から未来をつむぐ」と定め、より一層の教育の向上に取り組みます。「十の戒め」を大切にした落ち着きある学校生活のもと、英語活動や探究学習等、質の高いカリキュラムを推進するとともに、従来より取り組んできた「アフタースクール」活動も定着し、宝仙学園小学校らしい教育活動がさらに展開をするでしょう。

 幼稚園では、「あそびの中に、学びをつくる。あそびの中で、人をつくる」をテーマに、子どもの個性を大切にしたきめ細やかな保育をめざしていきます。またこれまでと同様に、幼稚園と家庭との信頼関係を築き、「子ども」「保護者」「保育者」が一体となった教育を進めてまいります。今後も良質な保育環境の中で、子どもたちの生きる力を育んでいきたいと思います。 学園のそれぞれの教育部門が、建学の精神の意義を深め、豊かな教育を進展させていることに、大きな喜びと自信を感じています。建学の精神は、教育活動の日々の繰り返しの中で身につき、磨かれていきます。これからもより一層、仏教精神をもとにした人間教育の質を高め、理想の学園像を追求していきたいと思います。

2024年5月

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